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地方で暮らすという選択が人間本来の豊かさに|伊那市コラムvol.1

長野県 伊那市

今回は、愛知県から長野県伊那市に移住し、クラフトビール醸造所「In a daze Brewing」(イナデイズ ブルーイング)を開業した冨成和枝さんに、伊那市でどんな仕事をして、何を感じ、地方で生活することで人生の何が変わるのか?

ご自身の体験を通じて「移住」から一歩踏み込んだ、地域と共に暮らすことの魅力を語っていただきました。

移住は人生最良の選択でした

有田

今日は長野県伊那市に移住された経緯についてお伺いしたいのですが、本サイトのユーザーには、地方移住を考えている方、準備している方、また、移住への一歩を踏み出せない方がいらっしゃいます。

今回は、冨成さんご自身の経験から、そのあたりのお話しも伺えればと思っています。

まず、冨成さんの生い立ちから教えていただけますか?

冨成

私は愛知県岡崎市の出身で、高校を卒業後に信州大学では微生物や乳酸菌の研究に取り組んでいました。

そこから、大学院卒業後は愛知県の食品メーカーに就職したんですが、大学時代に長野で過ごした時間が忘れられなくて、「いつか戻って暮らしたい!」という思いが強くなってきたんです。

学生時代を過ごした信州大学
有田

大学進学の時から、長野に住むことは決めていたんですか?

冨成

実は、初めはそうでもなくて信州大学を受験する前に、大阪府立大学を目指していたんです。

有田

どうして、大阪の大学に行こうと?

冨成

シンプルに、関西弁を話したいという理由で受験したんです。

有田

関西弁を学びに(笑)

冨成

はい。(笑) 

そんな経緯もあるので、信州大学は行きたくて行ったわけじゃないというのもあるんですが・・・。

今となっては、長野の大自然にハマってしまって、最良の選択だったと思います。

伊那谷から望める南ア仙丈ヶ岳

ビール醸造家を目指した理由

有田

ブルワー(ビール醸造家)を目指すようになったきっかけを教えていただけますか?

冨成

元々お酒好きが高じて、大学院の時に大手ビールメーカーのインターンシップに参加したことがあるんです。

一つの商品ができるまでの過程が、とても緻密に計画されたものなんだということを勉強させていただいて、商品を自ら開発することに興味を持つようになりました。

有田

インターンシップがビール作りとの出会いだったんですね。

冨成

他にも食品メーカー在職中に、各地のクラフトビールに触れる機会があって、色んな作物との組み合わせで生み出す「農作物としてのビール」というキーワードに「農業と信州に関わる仕事」が線につながって。

せっかく転職するなら、自分が一生かけてやりたい仕事がいいなという中で、長野でクラフトビールの醸造所を始めたら面白いんじゃないかと。

それがブルワー(ビール醸造家)として歩むことになった経緯です。

有田

なるほど、一生かけてやりたい仕事との出会いは素敵ですね。ちなみに、転職と同時に起業したんですか?

冨成

いえいえ!さずがに安定した会社から急にか右も左もわからないようなところに足を踏み入れるほどの勇気はなかったので。笑

食品メーカーで3年間働いてた時に、脱サラというか、ワンクッションという形で、愛知県岡崎市にあるクラフトビールの会社で4年間修行させていただいたんです。

有田

起業というのは大きなチャレンジだと思います!
ちなみに、ご両親はどんなお仕事をされていたんですか?

冨成

よく聞かれるんですが、父親は自動車メーカーのサラリーマンで、母親は、子どもが3人いたので専業主婦やパートで勤めでした。

なので、両親は一般的な職業だったんですが、親戚に自営業をしている方も多かったので、そういった環境が私の遺伝子にも影響しているのかなと、思ったりもします。

有田

なるほど、フロンティア精神がDNAに刻み込まれているんですね!

冨成

あはは!
かもしれないです!笑

伊那市を移住先に選んだ理由

有田

改めて、移住・開業先として長野県伊那市を選んだ理由について教えていただけますか?

冨成

理由はいくつかあるんですが、個人的な面では、気軽に自然と調和できるライフスタイルへの憧れが1番の大きな理由です。

ウインタースポーツが凄く好きなので、スキーが気軽に出来る環境だし、バーベキューとかも割とナチュラルに「週末にやっちゃう?」と、できる気軽さとか。

理想とするライフスタイルとビジネスを実現できそうなところのバランスを見て、伊那市にしようと決めました。

友人とスキーを楽しむ冨成さん
有田

それこそ自分の幸せを追求した先に、合致したのが伊那での仕事でありライフスタイルだったと。

お店の場所はどのように探されたんですか?

冨成

大学時代の同級生の人脈から、地元の農業系企業が農産物の加工場として使用していた建物を取り壊すという話を聞いたんです。

その場所が、母校(信州大学農学部キャンパス)からも近く、 とにかく最高のロケーションだったので、何とかその建物を借していただけないかと…。

取り壊し予定だった建物
有田

すごくいいタイミングで物件と出会えたんですね!

冨成

ただ、その友人を通じて、建物を所有している会社の上司の方に掛け合ってもらったのですが、初めは難色を示されてしまったんです。。。

有田

なるほど、いきなり順調にトントン拍子という訳ではなかった。

冨成

だけど、今考えれば当然だと思います。

大きな企業だったので、「若いパッションのある子に、ここお願いしよう」と言ってくれる人もいれば「こんな若い女性に本当に出来るの?」という人もいて。

有田

なるほど、それで別の場所を探したんですか?

冨成

この場所は無理かなと思って、仕方がないなと切り替えてたんですが、

私のパッションを感じてくださった企業の課長さんが、熱心にアプローチしてくださって、企業の代表の方とお話しする機会を設けていただけたんですよ!

それで直談判を…。

有田

そこで、渾身のプレゼンテーションを!笑

冨成

はい、とても緊張しましたけど!笑

有田

冨成さんの熱意が代表の方に届いたんですね。

冨成

こちらの企業さんは農家をサポートする体制がしっかりしているし、農家ファーストの価値観を強くお持ちの方が多いんです。

だから、「地域の農産物を活用して商品を作りたいんです」という理念に共感していただけたことが大きかったのかなと思っています。

リノベーションした店舗は古材などを再利用
センスを感じる店内のメニュー表

念願の醸造所をオープン

有田

そこから、31歳の2018年12月に飲食店をOPENして、醸造は2019年2月から本格的にスタートしたとお聞きしています。

開業資金はどれぐらいで始められたんですか?

冨成

初期投資については、費用をかけるところ・削るところのバランスを重視しました。

ビールの醸造設備は400万円弱、店舗は600万弱くらいで、運転資金と合わせて1300万円弱を借入たのですが、醸造所はほぼDIYで改装しましたし、中古の機械を活用して初期費用を抑えることができたのも良かったです。

自ら2tトラックを運転して名古屋港から運び入れた醸造タンク
併設されたタップルーム
有田

ちなみに、オープン直後からお客さんは集まったんですか?

冨成

伊那の市街地は、一時期ですが人口に対する飲食店の数が歌舞伎町と同じくらいあったっていうくらい、本当に多いんです。笑

有田

なるほど、お酒が町のカルチャーになっているんですね!

冨成

まさに!笑

有田

私も行きたい。笑

冨成

飲食文化、飲み文化があったのは知っていたんですが、お店のOPENに合わせて、私も飲みに出歩いて挨拶したりしたんです。

そこで、色んなお店の女将さんやマスターと仲良くなってくると、「この子が伊那でクラフトビール始めるらしいよ」と口コミしてくれて、どんどん噂が広がっていったんです。

有田

それはある意味で最強の宣伝ツールかも。

冨成

本当に、有難いです。

有田

ビールラベルのデザインも素敵なんですが、デザイナーは地元の方ですか?

冨成

ラベルのデザインとかアートワークはローカルな人にお任せしたいなと思って、伊那エリアの方にお任せしています。

有田

伊那エリアのデザイナーにお願いしている理由は?

伊那への愛情が感じられるデザイン
冨成

伊那は農産物も豊かですが、アーティストさんや作家さんといった、デザインに関わる人が多いんです。

東京に近くて、リモートワークの普及で移住される方もいらっしゃるので、地元に素敵なアーティストさんがいるならということで、お願いしています。

有田

素晴らしいご縁だと思います!

寛容的な伊那市のコミュニティ

有田

ちなみに、移住された方が定期的に地元の方と出会える場所やコミュニティはありますか?

冨成

私の場合は、人に紹介していただいたケースが多かったように思います。

伊那も都会から移住してお店始める方が増えているので、同じように開業した同世代の方も多く、相談を気軽にできる環境がありました。

あと、「赤石商店」っていうゲストハウスがあって、そこには本当にたくさんサポートしていただきました。

決まったコミュニティがあるという訳ではないですが、移住される方にもとても寛容的な人が多いので、外から来た人でも孤独になることは少ないと思いますよ。

有田

移住された方も、自然と溶け込める環境なんですね。

冨成

外から来た人を受け入れる土壌があるので、伊那には面白い人が集まってきている印象があります。

とにかくバリエーション豊かな人たちが多いので、たくさん出会ってほしいです。

お店には県外から訪れる方も多い
有田

伊那市は行政も移住促進に積極的ですが、どういった方が伊那市に向いていると思いますか?

冨成

個人的には、同じような価値観の人が来てくれるのは嬉しいです!

有田

確かに、そこは大事ですよね。

冨成

この街を楽しくしたいとか、そういったビジョンを持っている人には、全面的にサポートしてくれたり全力で応援してくれる人たちが多いです。

ただ、例えば「自然にも興味ないけど、とりあえずお金になりそうだから来ました」という人がいたとして、そういう方への応援は…という感じかもしれないです。

有田

なるほど。

冨成

自分のことだけじゃなく、少しでもいいので、街の役に立ちたいとか、誰かに喜んでもらいたいという思い。

そこを大切にしていただければ、伊那の方とも自然と繋がりやすくなると思います。

移住でライフスタイルも変化

有田

先ほどライフスタイルについてのお話がありましたが、洋服を買う時などは松本市まで足を運んだりするのですか?

冨成

うーん、まず大前提として、そんなに服とかも買わなくなりました。

会社員時代はストレス発散のために色々買ったりしていたんですけど、伊那に来てからは、自分のビジネスに良い影響があるものや、意味のあるものを購入しています。

人生の投資的な意味でお金を使うことが増えたので。

有田

会社員時代から価値観が変化したということですね。

なびとでオンライン相談会を開催した際に、地方での生活環境に関する質問がよく出ます。

伊那市はいかがですか?

冨成

もちろん、伊那市でも一般的な買い物などは全然困らないですよ。

しかも、アウトドア製品はプロの人のお店がたくさんあります!

プラスアルファの嗜好品やファッション、それ以外のお店は松本市に行けば揃いますし、東京へも高速バスが通っているので割と行きやすいです。

ただ、伊那には個人のお店が多いので、お気に入りのセレクトショップとか、自分の感性に似たお店があれば、そこで成立するにも魅力的だと思います。

有田

自分のお気に入りのお店が見つかると気分も上がりますよね。

休日などは、どのように過ごされていますか?

冨成

自然に関わる遊びをすることが多いです!

夏はサップや登山、マウンテンバイクのトレイルも有名ですし、冬はもちろんスキーに行きます!

あとは、気軽にピクニック行って、お酒飲みながらボーっとするとか。笑

自然と調和することが多くなりました。

有田

大都会とは違った「地方ならでは」の遊び方ですね。

冨成

県外の方が伊那に来て「この辺りで遊べるところはありますか?」って聞かれると凄く困っちゃうんです。

自然が好きな人は困らないんですけど、そうじゃない人からすると「どこで遊ぼう?」ってなるのかもしれない。

でも、私としては逆に都心部に住んでる方は、買い物する・ご飯を食べる以外に、遊ぶことって何をするのかな…と。

そういう意味では、本当に贅沢な時間の使い方ができていると思います。

有田

アウトドア好きには最高ですね!

ちなみに、お店の前でキャンピングカーを置いて宿泊することもOKと風の噂で聞いたのですが…?

冨成

よくご存じで…笑

コロナ拡大の時期と被ってしまったので、あまりオフィシャルにOKには出来ない状況ではあるんですが、テント張るとかも全然大丈夫ですよ!

キャンプファイヤーしながら、ビール片手に伊那の夜を楽しんでください。

自慢のテラス席
夕暮れ時は格別の時間

今後の夢や目標について

有田

今後の伊那で暮らす上で、目標やチャレンジしてみたいことはありますか?

冨成

伊那市は自然が豊かな地域なので、農業や林業について考える機会も多いんです。

だから、耕作放棄地などの課題解決も含めて、1次産業に携わる人たちにとってもプラスになるようなアクションを増やしていきたいです。

有田

どのような取り組みを考えているですか?

冨成

例えば、地元農産物を優先的に購入して、農家さんの新規就労などのサポートになるような仕組み作りとか。

ビール作りは最初のきっかけでしかないので、色々と事業を拡げていきたいなと考えています。

有田

ビールを起点として、地域課題を解決するソーシャルビジネスも見据えていると。

冨成

もちろん、どこまで出来るかわからないですが、地域社会における環境問題やエネルギー問題に関わっていきたいと思っています。

小さなコミュニティでエネルギーを循環できるような仕組みとか。

私の仕事も自然の恵みをいただく商売なので、環境問題に深く関われるようなことはしたいとずっと思っています。

林業に触れる機会を通じて学びを深めている
有田

地域の中で循環するという考えは、とても共感します。

冨成

いえいえ、まだまだ勉強中ですし、構想段階です。笑

でも、あらゆる物を循環ができるようなことが、20年後くらいには出来ていたら良いなと思います。

有田

それが伊那市で実現できると素敵ですね。

冨成

お金が全てではないですけど、地域に入ったお金を地域内で循環させることは、サスティナブルを考える上で大切な視点だと思っています。

有田

日本でも、ローカル経済のあり方が見直されています。

冨成

日本はエネルギーの自給率も低いので、自分たちで作っていくという視点を持つことは、これから地方が残っていく上では大切なことだと思うんです。

地方も国の税金を使って成り立つようなシステムでは、どうしても限界がくると思うので、利益を出しつつ、地域循環して還元できるような。

そんなことをイメージしながら勉強しているところです。

有田

ぜひ今後のご活躍にも期待したいですね!

最後にこれから、地方に住みたいと考えている方にメッセージをお願いできますか?

冨成

地方に移住することで、自分は何を求めているのか、どういったいったものに魅力を感じたり、どんな将来像を描きたいのか、そこを深く知るのが移住の第一歩だと思います。

あとは感覚も大事。

人との出会いが何より大事だと思うので、地方に住みたいと心も固く決めている人は、色んな土地に出向いて、そこで暮らす人と出会ってほしいです。

有田

人との出会いって、本当に大事ですよね。

冨成

伊那市は割とマインドがオープンなお店も多いと思うし、SNSでもカジュアルに質問しやすいプラットフォームが出来ていると思うので、

そこに住んでいる人といろんな関わり方をして「この人がいるなら住んでみたいな」「一緒に住んだら楽しそうだな」というのを見つけるのも、移住を後押しする一つの理由になると思います。

あと、個人的には、地方で暮らすという選択が本来の人間の豊かさという意味では大切だと、伊那に移住してから実感しています!

有田

ありがとうございます!

なびとでは、定期的にオンライン移住相談会や交流会を企画しているので、「In a daze Brewing」のビール片手に、ぜひ冨成さんもご参加ください。笑

冨成

はい!大歓迎です。笑

その際には、ぜひ質問など気軽にお声掛けください!

CITY DATA

自治体情報

庁舎長野県伊那市下新田3050
WEBhttp://www.inacity.jp/iju/
人口約68,000人(2019年3月時点)

EDITORIAL NOTE

有田由樹子

今回のインタビューでは、お伝えしきれなかった魅力が、伊那市にはまだまだあります。ちょっと行ってみようかな?と思ってくれる方が増えたり、実際に伊那市に訪れた方が新たな伊那市の楽しみ方を発見していただけたら、これほど嬉しいことはありません。ぜひ皆さんも伊那市へ足を運んでみてください。


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