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今回お話を伺った八代谷寿子(やしろたにひさこ)さんは、兵庫県神戸市出身。移住されたのは山口県宇部市の都心部より車で北に30分ほどの中山間部にある人口700人余りの吉部地区(きべ)。
2019年に『カラダよろこぶ、ちゃんとゴハン』をテーマに、キッチンカー出店とお弁当販売業を営む「kitchin846」を起業。自然豊かな宇部市吉部地区で育った吉部米を使ったおにぎりや、野菜ソムリエ考案の野菜をたっぷり使ったメニューを届けておられます。
起業には全く興味がなかった八代谷さんを変えたのは自然豊かな暮らし中で育まれた地域の方々との絆でした。全く縁もゆかりもなかった。そんな地域に根づき、生計を立て、生きていくこと。「地域のために」と挑戦を続けるその原動力は何なのか、お話をお伺いしました。
八代谷 寿子さん
神戸市で生まれ。2016年地域おこし協力隊の隊員として山口県宇部市吉部地区へ移住。
3年間の任期終了後、2019年に宇部市の起業支援制度を使って「kitchin846」を起業。現在は、事業の傍ら市役所と共に吉部地区の「関係人口の創出事業」に取り組んでおられます。
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生まれ育った神戸から移住を決意
まず、自己紹介も兼ねて八代谷さんの生い立ちをお聞かせください。
私は、兵庫県神戸市で生まれ育ちました。
実は、元々移住には全く興味がなくて、たまたま旅行で山口県の角島(つのしま)に友人と遊びに行ってその魅力にはまってしまって。
角島!とても綺麗な場所ですよね。では、角島に魅了され、すぐに移住を検討されたんですか?
いえ、最初は、あくまでも観光として。でも、角島の海が綺麗で魚も美味しくて、すごく楽しくて。年に何度も行くようになって。「行くのめんどくさいな、住みたいな~。」と思い始めて(笑)
角島に移住するはずが、なぜ、宇部市に移住されたんですか?
2014年頃から移住したいという思いが強くなって角島の求人情報などを見始めたんですが、なかなか良い求人が出てこなくて。じゃあ角島の近く、山口県内ならどこでもいいや!ということで山口県全体を探し始めたんです。
でも、なかなか条件にあう仕事がなくて。。
条件とはお仕事内容ですか?
特に給与面ですね。
私は手に職があるというわけではなかったので、働けるものであれば何でも、という感じで求人情報を見ていたんです。でも、どうしても神戸とは給与水準の違いがあると感じてしまいました。
田舎での暮らしは、家賃は確かに安いけど、その分車が必要で、維持費や生活費、税金など、、具体的に1人で生活していくことを考えていったらなかなか厳しくて。
行きたい場所はあるけれども実際に生計を立てる収入面のバランスが難しい。確かに多くの方が移住を考える上で課題とされていることですよね。
はい。今、私も市役所の方と移住者の説明会などをさせてもらうことがあるんですがその時にはリアルな生活にかかるお金の話もさせていただきます。地方でもお金はかかります。自分でいかに生計を立てていくのか。とても、大切なので。
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地域おこし協力隊の経験を経て起業へ
そんな中で「地域おこし協力隊」に応募されるきっかけは?
たまたまテレビで「地域おこし協力隊」の話題を特集していて。住まいと一定の給与が保証される制度というのが魅力的で(笑)移住したくても仕事と住まいが見つからず苦心していた私にはうってつけだったんです!山口県で探すと、宇部市の協力隊募集の情報をみつけて、活動内容も魅力的で、受けてみようかな?という。きっかけはそんな感じでした
地域おこし協力隊での3年間のご経験はいかがでしたか?
私が派遣されたのが宇部市の中でも過疎化が深刻な北部中山間地域の吉部(きべ)地区という場所でした。私のミッションは吉部の郷土料理の販路拡大、市主催のイベント開催支援や情報発信など。特に、決まった活動はなかったので、色んな事をさせてもらいました。
吉部地区に色んな方に来てもらうため、「うべ.com」という団体を立ち上げ、宇部市全体で様々な企画を考えたり。小学校の旧校舎を使ったイベントの開催や、里山を歩くウォーキングイベントを開催したり。吉部米の美味しさを多くの人に知ってほしくて羽釜を買ってお米を炊いて皆で食べるというイベントをしたり。
楽しそうなイベントを沢山企画されていたんですね!
はい!イベントを企画して、地域の皆さんと実践するのはやりがいも感じ、すごく楽しかったです。
ただ「今は市役所がお金を出してくれてるから出来てるけど3年後これで食べていくっていうのは無理。じゃあ自分が何ができるのか。」とずっと考えていましたね。
確かに、移住を決めて宇部市に来られた八代谷さんにとっては3年後以降が大切ですよね。では、その後の起業につながるようなご経験があったんですか?
きっかけになったのは、企画の1つとして考えていたイベントでの「粕汁」の販売です。粕汁は関西ではとてもメジャーな酒粕を使った料理で、私は子どものころから食べていたんですが、山口では誰も知らなかったんです。宇部市には「貴」というとっても美味しいお酒があるんですがその酒粕の使い方が皆分からない。じゃあ山口風にアレンジした「粕汁」にして吉部米で作ったおにぎりとセットで宇部市の主催するイベントで販売するのはどうかと考えたんです。
ただ、屋外イベントはご飯類の販売許可を取るのが衛生面で厳しく、それを解決するには「キッチンカーがいいんじゃないか?」と。宇部市の食材の美味しさを多くの方へ届けていきたい!それがキッチンカー事業企画の始まりでした。
その企画をきっかけにご自身で創業まで実現していかれたわけですね?
実は私としては「やりたいかも。」と言う漠然な思いだけだったんですが、当時の市役所メンバーの皆さんが私の想いをがっちりつかんで、どうしたら実現できるのか本人以上にすごく考えてくださって!
私は宇部市に知り合いもいなかったので 車も市役所の方が知り合いに声をかけて探してくださったり、全力で実現に向けてバックアップしていただき形にしていくことが出来ました。
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移住を通じて芽生えた「地域のために・・」という想い
お話をきいていると「地域のため」という熱い想いが伝わってきますが
、元々は縁のなかった地域で、その想いの原動力となっているものは何なんでしょうか?
小さな事かもしれませんが、移住して農作業や、草刈りを地域の皆さんと一緒にさせてもらったり、田植え機に乗せてもらったり、そういった今までできなかったことを体験させてもらって、単純にすごく楽しかったんです。
自分の知ってる人が育てたお米を食べるのがこんなに美味しいんだということ。作った人の顔の見える、採れたての野菜を食べる。。お金では買えない贅沢な暮らしなんだ、と思います。
ここに来ないと感じることはできなかったと思います。
聞きながら八代谷さんが間違いなくすべてを楽しまれてたんだなというのが伝わってきます。
神戸でずっと生きていたら田植え機に乗ることなんて一生なかったなって思います(笑)
農家さんの大変さも近くで見てきて、こんなに苦労してつくられた美味しいものをもっと知ってほしいという思いも芽生えてきました。でも、そういった事を広めるのは高齢者が多い農家さん達は苦手で 、私なら伝えていけるんじゃないか、という想いが企画の元になっていったのかなと思います。
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夢を形に起業。しかし思わぬ苦労も
今されている 事業内容を教えてください。
キッチンカーは簡単な調理しかできないので その仕込み場所として空き家をリフォームした調理場所を整備しました。今は、平日はお弁当販売をして休日イベントがあればキッチンカーの出展をするというのが事業になってます。
お弁当販売もされてるんですね!
宇部市は都会とは違ってキッチンカーを平日持って行く場所っていうのがあんまりないんです。みんな車社会だしオフィス街もない。じゃあ平日はお弁当販売をしよう!と。
今は、地域おこし協力隊時代から仲良くしていただいている、市役所の方や山口県庁の方等、顧客をつくって、専門業者のように、曜日ごとに販売場所と個数を確認して、販売していくようなシステムをつくっています。
創業からここまで苦労されたエピソードがあれば教えて下さい。
経営の事、料理の事、最初は何も分からないところからスタートしたので、ペース配分がわからず、苦労しました。
当初、まだアルバイトも続けていたので、午前3時に起きてお弁当を作って、アルバイトに行き、お弁当の配達に行って帰宅して仮眠、すぐに起きて後片付けやお弁当の仕込みをして、またアルバイトに行って・・午後10時か11時頃に帰宅して、1時ぐらいに寝て3時に起きて・・・。そんな生活が2~3ヶ月続いて。その時はすごくしんどかったですね。
それはもうイメージしていた地方のライフスタイルではない、、分単位のスケジュールですね 。。
本当に泣きながら仕込みをしてました。起業したのが2019年10月だったんですが、ちょうどイベントにもいい時期で当初は声をかけてくださるイベント全部出展させてもらっていて、せっかく誘ってくださってるんだから、という想いもあり土日もなく。
ふと気付いた時に「私、ゆっくり暮らしたいと思って山口に来たのに全然山口楽しんでないやん!」という感じで、、。このままじゃ体も壊してダメになるなと思って。。
新しい土地で、新たなチャレンジに大変なご苦労があったんですね。
はい。でも、その後コロナが流行してイベントが全部ストップになってしまって。まだお弁当事業だけでは厳しくて、経営的にはすごく焦るんですけど。身体的にはすごく楽になって、ちょっと働き方を考えようっていうきっかけになりました。自分の身の丈に合った働き方をしよう、って。
宇部市でのライフスタイルは
週末は海に行ったり観光に行ったするのが元々お好きだったと思うんですが、宇部市に来て休日の過ごし方は何か変わりましたか?
買い物にはあまり行かなくなりました(笑)
今は友人とバーベキューとか。家の前でしても誰も怒らないですし。
元々大好きな温泉に行ったり、、。近所のおじいちゃんが「柿取るぞ!」って家に来てくれて一緒に柿をもぎにいったりとか。
180度変わったと思いますね 。
地元のコミュニティや皆さんとの関りはいかがですか?
宇部市の都市部と私のいる中山間地域とではまた全然違うと思うんですが。吉部地区には昔ながらの人付き合いはまだ残っていて、隣近所の方との関わりはかなり濃いですね。頂き物はしょっちゅうですし(笑)
家の前に大量のピーマンが置いてあったり、巨大キャベツが置いてあったり!
協調性や地域に溶け込むコミュニケーションは移住する側も心得ておかないといけないと感じますか?
そうですね。やはりその土地にある程度適用できる方でないと大変に感じるかもしれないです。あとはこちらから積極的に関わっていくことも大切です。
私の場合は、協力隊時代にお世話してくださった先輩がすごく地域の方に信頼ある方だったので皆さん大歓迎してくださって、とても恵まれていたと思います。
自治体の方との関係性も大切ですよね。
はい!私は、今でも全力で困ったら市役所の人達に頼ってます(笑)
今は一緒に移住者の交流会などもさせてもらってるんですけど、友達のような関係性でもあり。補助金や助成金の話や経営のこと等もいろんなアドバイスをもらったり。本当に頼りにしています。
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ちょうどいい町 宇部市の魅力
では、八代谷さんが考える「宇部市」の魅力とは?
都市機能と田舎が両方あって、それがそんなに離れてないんです。私が住んでいる田舎地域でも車で20分も行けばスーパーも、ご飯を食べられるところも沢山あって。
都市部に住んだとしてもちょっと癒されたいと思ったら30分も行けば温泉や直売所があり、そこまで遠出じゃないけど休みの日には山の中にあるピザ屋さんに行ってみたり、半日ゆっくり過ごせる場所がある。
ちょうどいいバランスですね。
地域のために新しいチャレンジを!
八代谷さんが今後チャレンジしたいこと、考えてることがあればお聞かせください。
今の事業はもちろん大事にしながらなんですが、去年から自治体からの委託で、吉部地区の関係人口の創出事業の強化で移住者交流会というのをやっているんですが、すごく楽しくて!
この事業も自分では力を入れていきたいと思っているんです。
移住につながる動きですね。
もちろん、移住して来て欲しいというのが一番にあるんですけど、そんなに簡単じゃないし、ハードルがすごく高いと思ってます。
だから、関係人口を増やしていく試みで、まずは若い子が宇部市吉部との関係を築いて繋がっていってくれたらいいなって思ってるんです。
いつか都会に疲れてその子が、移住を考えた時に宇部が候補にあがってくれるような。移住までは無理でも遊びに来たよーって。帰って来てくれるような。
新米の時期は釜でご飯を炊いたり夏の時期は竹で流しそうめんをしたり、皆で農作業をしたりと、色々なことをしています。
(※新型コロナウィルスの影響で今は開催が不定期になっています)
都会ではなかなかできないことを経験してもらって、地域のおじいちゃんおばあちゃん達と触れ合ってもらったりとか。ここでしかできないことを体験してもらってそれを口コミで広げてもらって、とにかく来た人も地域の人たちも元気になってほしいですね。
素晴らしい活動ですね!
吉部地区も、高齢化率が高くて、地域活動をメインに行っていている方も若くても60代の方とかなんです。私もせっかく縁があってここに来たので、もう少し恩返しをしたいって思っていて。吉部だけではなく宇部市北部地域の30代、40代の異業者さんと団体を立ち上げててみんなで北部を盛り上げていこうよ!みたいなこともやっていってます。
空き施設をリフォームしてゲストハウスを作ったり。そういうのもすごく楽しいです。地域の皆さんも人口減少への危機感を持っているので、皆で協力して移住者を増やして宇部市を面白くしたいなって思ってます。
最後に・・
最後に、八代谷さんご自身の経験を踏まえ、「移住」や「転職」について感じたことをぜひ教えてください!
私は、「移住者は人生かけてきてる!」と。思っています。私自身は地域おこし協力隊の任期終了後にどう生計を立て、生きていくかずっと考えて起業に至りました。
移住してくる方は見ず知らずの土地に来て色んなものをある意味捨てて一からこの土地で自分の生活をつくりあげていく。家族で移住しようとする方は特に、今までの暮らしを捨ててここで生きていこうと来られるわけで。人生をかけてくる人たちにとっては仕事って絶対大事だと思っています。
都会なら、合わなければ辞めようと気軽にできるかもしれないけど、地方では選択肢が少なくてなかなかそれが出来ないからやっぱり慎重になります。
そんな方たちの為にも、職場の経営者の方の雰囲気とかどういう感じの施設でどんな方が働かれているかとか、より具体的にわかるとありがたいです。自治体の魅力も同時に伝えてほしいですね。
ありがとうございました!
今後、なびとでも移住希望者の方の交流会なども計画しています!八代谷さんのご経験を多くの方にお伝えいただけたら嬉しいです!
今後ともぜひ宜しくお願い致します!
CITY DATA
自治体情報
庁舎 | 〒755-8601 山口県宇部市常盤町一丁目7番1号 |
WEB | https://www.city.ube.yamaguchi.jp/ |
人口 | 162,546人 世帯79,936世帯(2021年4月末日現在) |
EDITORIAL NOTE
福隅卓
八代谷さんにとって縁もゆかりもなかった山口県宇部市。移住をきっかけに強い絆ができ、その土地とその地域に住む人たちのために愛情を持って大きな挑戦を続けておられます。そんな八代谷さんを宇部市も応援しており自治体としての充実サポートが印象的でした。なびとは移住者の体験談を共有し、新しい場所で新たな生活を始めるあなたと共に歩み、想いに寄り添った移住・転職相談サポートをしています。いつでも、お気軽にご相談ください。
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