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あえて時間割を作らない、通知表がない公立小学校があるのをご存知ですか?
豊かな自然環境を生かし、生きる力を育む総合学習を核にすえた教育プログラムにより、子育て移住が増えていています。
そんな、全国から見学者が絶えない伊那小学校の魅力を、千葉県から移住された西野さんにお話しいただきました。
アパレル業界を離れた理由
関東から伊那市に移住されたとのことですが、まずは移住前のことをお伺いしてもいいですか?
はい、私は千葉の出身で、アパレル業界でパタンナーとして十数年働いていました。
アパレル業界にいらっしゃったんですね!とても商品サイクルが早い業界だと思いますが、実際どうでしたか?
もう…本当に凄い回転の中、最新トレンドも見つつ、当時は1円単位でのコストカットや無茶な納期の交渉もしていました。
今ではフェアトレードなども耳にしますが、当時はまだそれほど広がっていませんでしたか?
今ほどではなかったと思います。
2013年にバングラデッシュの縫製工場で起こったビル崩壊事故をご存知ですか?
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はい、とても心が痛くなるニュースでした。
あのニュースを知った時に、長年アパレル業界で働く自分の胸にグサっと刺さったんです。
地球の裏側では過酷な環境で働かされている方がいて、自分もそのシステムに関わっていると感じてしまったんですね。
それで「もう、この仕事を辞めよう」と思いました。
なるほど、そういった転機があったんですね。
他に移住を後押しした出来事はありましたか?
移住を考えるきっかけになったのは、2011年の東日本大震災です。
東日本大震災の時は、東京でお勤めされていたんですか?
はい、震災の日は多くの方と同じく、私も帰宅難民になりました。
何時間もかけて、歩いて帰宅した方が大勢いらっしゃいましたよね。
私も帰宅難民の経験を通じて、都心に通勤する日常を今一度考えないといけないと思う契機になりました。
震災後も、東京での生活は続いたんですか?
震災後は結婚・出産を経て、一旦仕事に復帰しました。
でも、変わらず千葉から東京への通勤で、保育園からの呼び出しの時は大変でした。
子供も小さい頃は、よく風邪を引いたりしますもんね。
はい、それで自然療法を探す中で、アロマの勉強を始めることにしたんです。
そうなんですか!
現在は伊那市でアロマのお仕事をされていますが、お子さんがきっかけだったんですね。
通院も行くだけでも大変だし、どうにか自分でお手当してあげたいなと思って。
結果的に、子供の為にも良かったし、私自身も子供の体調が良くなったことで、心に余裕が生まれるようになりました。
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ある小学校との出会いで移住を決断
なかなか移住に向けた動きが見えてこない気がするんですけど。笑
移住はどのように動き始めたんですか?
そうですよね。笑
実は、移住は主人の意向だったんです。
ちょっと意外です!
西野さんのご意向かと勝手に思ってました。笑
主人は伊豆にある三宅島の出身で「自然の中で育ってきた人」なんです。
一方、私は都会育ちなので「地域の中で育ってきた人」ということもあって、人との関わりの中で子供は育つという考えがありました。
お互いが育ってきた環境で、お二人の価値観にも違いがあったんですね。
そうなんです。
なのでどこに住むか決める上で、「自然だ」「人だ」という擦り合わせが続いて、時々喧嘩もすることもあったんですが、
ある時、移住に向けた主人の本気スイッチが入って。笑
本気スイッチ?
「もう、俺が先に移住する!」ってスイッチが入って、本気で移住先を色々と調べ始めたんです。
それで私も「大変だ!これは主人も本気だ!」となったんです。笑
西野さんのご様子が目に浮かびます。笑
でも、私も移住に向けて大きく意識が変わったタイミングがあって、
それが伊那小学校の校長先生の話を聞いてからなんです。
校長先生のお話ですか?
当時、子供が小学校に進学する時期だったので、主人が伊那小学校の校長先生の話を聞いてきたんです。
その話を私も聞いて「あ、ここまで都会の学校と教育の方針が違うなら、伊那市に引っ越す価値がある」と思いました。
ちなみに、移住先の長野県にご友人やお知り合いが住んでいたんですか?
いえいえ、関東圏以外に知り合いも親戚もいなくて、本当に縁もゆかりもない場所でした。
もちろん、当初は不安もあったんですけど、それよりも「伊那小学校が面白い!」という興味が勝ちましたね。
移住の不安より興味が勝る小学校とはすごいですね。
伊那小学校は、私立の学校でしょうか?
それが、公立の学校なんですよ!
総合学習を取り入れているんです。
公立では珍しいですね!
本当にそう思います。
でも、公立の学校だけに情報が全然なくて。笑
学校を見に行くとしても、休日なので子供達もいないという•••。
なるほど•••。
知り合いもいなくて、実際に学校の様子も見れない。
では、何が決め手になったんでしょうか?
「公立で」「地元に周知されていて」「歴史がある」という3つが決め手になりました。
実は、、、ちょっと賭けではありましたけど。笑
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子供の可能性を伸ばす教育
でも、その3つと合わせて校長先生の方針も魅力的だったということですよね。
どのような教育方針なんですか?
校長先生は「子供は自分で解決する力を持っていて、それをサポート・伴走するのが教師です」という考え方なんです。
ですので、大ベテランの先生も新任の先生も、子供から学ぶという姿勢があるのが素晴らしいと感じてます!
特色ある学校ですが、1クラスの人数は少ないんですか?
いえいえ、1クラ30人〜40人くらいなので、都会の学校と変わらないと思います。
ちなみに、1学年で3クラスあるんですが、1年生から3年生までクラス替えがないんですよ。
そうなんですね!
あと、伊那小学校には「通知表、時間割、チャイム」がないんです。
え?理解が追いつかないです。笑
私も最初はそうでした!笑
理由を聞くと、先生が教科書をベースに外から教える事よりも、子ども達の知りたい!という内側からの意欲を大事にされているようです。
一般的な小学校の教育とは大きく異なりますね。
そういった教育を60年以上前から続けているので、地元の方からも信頼されているんだと思います。
他に、西野さんが驚いた学校の特徴はありますか?
何かを決める時に、1年生のクラスでも生徒が話し合いで決めるんです。
しかも、最後の1人が納得するまで話し合いを続けるそうで、それがすごく面白いと思いました。
1年生でも話し合いをするってことは、みんな意見を出すんですよね?
そうなんですよ!
反対の子がゼロになるまで、永遠と話し合いが続きます。
みんなハキハキ自分の意見を届け合うことで、伝える力が培われていると思います。
1年生から民主主義を経験しているんですね!笑
本当に、驚きますよね。笑
あと、印象深いエピソードだと、学校の近くでヤギの赤ちゃんが産まれたんですね。
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子供たちは「可愛い!クラスで飼いたい!」と盛り上がって。
子供たちはテンションが上がりますよね。
でも、生徒の中には排泄物やお世話が大変だと、反対意見の子供もいたんです。
それで、反対意見の子がゼロになるまで、また永遠と話し合いです。
え!先生の独断ではなくて、そこも話し合いで決めるんですか!?
そうなんです!
時間割は毎日変わるんですけど、
その時は「算数・国語・ヤギ・ヤギ」とかになっていました。笑
ヤギで2時間!笑
先生も本当に大変ですよね。笑
本当に独特な時間割ですね!
でも、その時間が通常のカリキュラム以上に大切なことだと、担任の先生が理解されているからこそですね。
先生が工夫しながら色々と調整してくれているんだと思います。
ちなみに、ヤギは飼うことになったんですか?
凄い長い時間かかったんですが、ようやく満場一致になって飼うことになりました。笑
それは良かったですね。
でも、そうなると次は小屋を作りましょうということになったんですよ。
もしかして、小屋も子供たちの手作りですか?
そうなんです!
私もちょっと気になって学校に見に行ったんですけど、「釘は何本使うのか」「釘も10本が集まっていくと100本になるね」とか、小屋づくりの中に算数の授業が入ってたりしてて。
あ、なるほど、そこでカリキュラムの内容も網羅していくんですね。
釘を打つにしても「これだと打てない、ここを押さえよう」とか、テコの原理とかも大人が教えなくても、自分たちで「あーでもないこーでもない」って作業してて。
この中に「教育の全て」が詰まってるんだなと感じました。
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個性的な地域行事の数々
子供の可能性を信じているからこそ出来る教育ですね。
ちなみに、移住当初は不安もあったと思うんですが、地域の方やコミュニティとの出会いはどうでしたか?
伊那市は地域行事も多いので、近所の人と自然と顔を合わせることが多かったと思います。
どんな地域行事があるんですか?
一番驚いたのは、70年続いてる地区対抗の運動会があるんです!
もしかして、全ての世代が参加対象ですか?
はい。笑
移住して早々、5月にありました。
参加者は何百人といて、地元の人が楽しみにしている行事の1つなんです。
たしかに、移住された方も地域との繋がりが深くなりそうですね。
あと、地域行事ではないんですけど、小学校では「PTA運動会」があります。
まさかと思いますけど•••。
私も最初は不思議に思っていたんですけど•••。
蓋を開けてみたら、親だけの運動会だったんです。笑
本当に衝撃でした!
ははは!笑
これは他の移住者も統一見解だと思うんですけど、伊那市は本当にいい人ばかりで、気にかけてくれる方が多いです。
移住者にとっては、本当にありがたいですね。
インタビューしながら、私も伊那市に興味津々です!
最後に、移住を考えている人へ向けてメッセージお願いします!
私は「思い切って移住してみて良かった!」という一言に尽きます。
もうそれしかないです。笑
人として感じたい温もりや、時間の流れや豊さも変わりましたし、本当に大切にしたいことを大切にできるライフスタイルが実現できたと思います。
EDITORIAL NOTE
藤野 祥子
今回のインタビューでは、お伝えしきれなかった魅力が、伊那市にはまだまだあります。ちょっと行ってみようかな?と思ってくれる方が増えたり、実際に伊那市に訪れた方が新たな伊那市の楽しみ方を発見していただけたら、これほど嬉しいことはありません。ぜひ皆さんも伊那市へ足を運んでみてください。
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でも… どうやって調べたらいいの? 誰に相談できるの?
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