兵庫県の中央部に位置する朝来市には、豊かな自然と数多くの文化遺産があります。日本の“マチュピチュ”と言われる「竹田城跡」は凄く神秘的です。市内の川には「綺麗な川にのみ生息する国の特別天然記念物“オオサンショウウオ”」が生息しています。今回は、朝来市の魅力を「朝来市役所 総合政策課」の山内さんにお伺いしました。
INTERVIEW by
山内 睦
朝来市役所職員(移住定住業務担当)
趣味:お菓子作り・観劇
出身地:朝来市
仕事もレジャーも充実!
朝来市は、どのような地域なのか、教えてください!
自然環境としては、朝来市のある兵庫県北部の但馬という地域は、地理的に雪がすごいんじゃないかというイメージを持たれることがあります。ですが、朝来市は但馬地域でも南に位置しており、実際は年に10-50cm程度の雪が数回降るかなという程度で、根雪になることもありません。
そうなんですか。
ただ、除雪体制は行政が軸となり、万全の状態です。
雪がある程度降れば夜中からでも除雪車が出て、通勤時間帯にはたいてい除雪が完了しています。また、屋根の雪下ろし作業は生まれて今まで一度もやったことがありません。
兵庫県の北部はスキー場も多いため、朝来市も豪雪地帯だと思っていました。ほどよく雪が降り、レジャーも楽しめそうですね。
レジャースポットも美しいですね~。
交通の便などは、いかがでしょうか?
移住された方からは、関西の都市部、京阪神地域への交通の便がいいとお声をいただきます。
京阪神地域から朝来市までは、日本海に向かって北上する北経路が舞鶴若狭自動車道経由の北近畿豊岡自動車道。
そして山陽自動車道など経由で姫路から北上する南経路が播但連絡道路で、2方向に高速道路が通っています。
また鉄道(JR)も同様に2方向通っているので、有事の際にはどちらかの交通がマヒした時でも移動することができます。
交通手段が様々にあるというのは、便利ですし、安心でもありますね。
はい。これらを利用すれば、神戸、大阪方面に1時間半ほどで行けますし、日本海側の海や山など、自然溢れるアウトドアスポットへも1時間程度で行けるので、都会と自然豊かなエリアどちらにも行きたいという方にとって朝来はちょうどよい場所と移住者の方はおっしゃっていますね。
市街地にも出かけることができ、レジャー施設や温泉なども近くにあるというのは良い環境ですよね。
銀山湖
URL:https://www.asabura.jp/?s=%E9%8A%80%E5%B1%B1%E6%B9%96
銀山が近くにあることから銀山湖と呼ばれ、フィッシングスポットとしても有名。冬はビニールドームの中でワカサギ釣りもできます。
大町藤公園
所在地: 〒669-5220 兵庫県朝来市和田山町白井1008
電話: 079-670-1636
URL:https://www.city.asago.hyogo.jp/0000000441.html
山陰随一の規模を誇る大町藤公園は、約7000平方メートルの敷地に総延長500mの藤棚があり、5月上旬から中旬にかけて花が咲き乱れ、幽玄な空間を創りだし、訪れる人の目を楽しませている。
さのう高原
所在地: 〒679-3453 兵庫県朝来市佐嚢土肥上山66−1
電話: 079-677-1855
URL:http://www.city.asago.hyogo.jp/skyvilla-sanou/
キャンプ場のほか、1棟貸しのログハウスなどがあります。比較的標高の高い場所にあるため、竹田城跡顔負けの雲海が発生することもあります。
日本のマチュピチュは朝来市にある!
山内さんがおすすめしたい「朝来市の魅力的なスポット」はありますか?
「あさご芸術の森美術館」という野外彫刻がある美術館周辺が好きな場所です。文化勲章を受章し、東京藝術大学の名誉教授でもあった淀井敏夫さんが作った彫刻が野外にいくつも置いてある美術館なのですが、そこは個人的にすごく好きなところです。その美術館は、関西電力の水力発電用のロックフィルダムという石垣のダムの直下にあって、高さ7mサイズの彫刻などがあるんです。周囲には桜並木もあって、彫刻、石垣、桜並木が一目で見れる場所なんです。美術館の周囲は「あさご芸術の森」として整備されていて、いろんな野外彫刻が設置されています。それらの彫刻のなかには、動いたり、触れて遊べるものもあるので、お子さんは触ったり、登ったりして遊んでいますね。
子供の頃から美術品に触れられるというのは、他の美術館ではあまりできない貴重な経験になりますね。
あさご芸術の森美術館
所在地: 〒679-3423 兵庫県朝来市多々良木739−3
電話: 079-670-4111
URL:http://www.city.asago.hyogo.jp/category/2-7-1-0-0.html
広大な野外彫刻公園と美術館のある新しい芸術空間。展示室と芸術などの情報コーナーがあり、彫刻作品の常設展示をするほか、企画展や各種ワークショップも展開している
もう1つ好きなところがあります。それは、「神子畑選鉱場」という場所で、昔は採掘した鉱石を必要物・不要物に仕分けをしていたところです。今は近代化産業遺産として整備されていて、ゲームのワンシーンに使われる廃墟のようなとても雰囲気のあるところです。アニメなどのコスプレ撮影の会場として利用されたり、ロックバンドなどのミュージックビデオの撮影に使われてたりして聖地巡礼にいらっしゃる方もいるようです。
神子畑選鉱場
住所: 〒679-3453 兵庫県朝来市佐嚢1842−1
電話: 079-666-8002
URL:http://mikobata.com/
大正6年に閉山してからも、選鉱場は稼働していたが、昭和62年には選鉱場も閉鎖された。現在、選鉱場周辺は公園に整備され、様々な近代化産業遺産を間近で見ることができる。
朝来市といえば日本のマチュピチュとも言われる「竹田城跡」が有名ですよね?
はい。竹田城はまるで城が雲の上に浮かんでいるかのように見えることから「天空の城」とも呼ばれています。晩秋から春にかけて現れる雲海に浮かぶ姿は、神秘的で幻想的で…海外のサイトでも「日本のマチュピチュ」と紹介されてるんですよ。
また、竹田城のある山が虎が伏せているように見えることもあり、別名「虎臥城(とらふすじょう)」とも呼ばれています。平成18年には「日本100名城」に選定され、平成24年にはロマンティックなスポットとして「恋人の聖地」に認定されたこともあり、お城好きはもとより、カップルにも人気なスポットです。
竹田城跡
電話番号:079-674-2120(情報館 天空の城)
URL:https://www.city.asago.hyogo.jp/takeda/
「日本のマチュピチュ」、「天空の城」と呼ばれ、雲海に浮かぶ幻想的な光景が有名。
朝来市は、まだまだいい所があるんですよ。
朝来市には海はないですが、川はオオサンショウオがいるくらい綺麗です。浅い川では小さなお子様も遊べますし、黒川という地域に行けば温泉もあって、「魚ヶ滝」というところは水深が3mくらいあるので、滝の上から飛び込んで遊ぶ子供たちもいます。キャンプ場など親子で楽しめる場所が豊富にあるのも、朝来市の魅力です。
自然に近い環境で子育てしたいという家庭も増えてきている中で、朝来市のように豊かな自然環境があるのはお子様がいる家庭にとっても過ごしやすい環境ですね。
魚ヶ滝
URL:https://www.city.asago.hyogo.jp/0000009239.html
銀山湖を過ぎ、黒川渓谷を登っていくとある滝壺。春は新緑、夏はキャンプの水遊び場、秋は紅葉、冬は雪景色など四季を通して楽しめる。
地域住民と交流!移住体験ツアー
次に、移住者の受け入れについて教えてください。朝来市には、毎年どれくらいの方が移住されているのですか?
市役所の移住相談窓口を経由したり支援制度を利用したりして移住された方は、直近6年間は毎年100名を超えています。昨年、一昨年は130名を超えています。
移住された方々は、どのような感想をお持ちでしょうか?
人との繋がりが持てて安心できたと言っていただいています。朝来市にゆかりがなく移住される方は、他の自治体も何カ所か見学や相談などに回ったうえで移住先を決められることが多いようですが、「朝来市に決めたポイント」を伺うと、「人との繋がり」とおっしゃる方がほとんどです。
その繋がりというのは、「移住前から地域の方と取れたコミュニケーション」のことで、市役所の担当だけでなく、近隣住民、先輩移住者などと接点を持ち、歓迎ムードで対応いただいたことで安心して移住できたというケースが多いようです。
確かに移住してからの不安なこととして、地域住民と交流ができないことを挙げられる方が多いという話はよく聞きます。その対策として移住前に接点を持ってもらうというのは素敵ですね。具体的に、どのように繋がりを作っておられるのですか?
移住される方には、「朝来市に移住されてからどのような暮らしがしたいですか?」ということを必ず聞くようにしています。
「移住してから農業をしたい」ということであれば、「先輩農家をご紹介します。」とか「こういう市役所の相談員を紹介しますよ。」「近いライフスタイルを送っておられる先輩移住者を紹介しますよ。」という感じで、相談時点から地域の方との繋がりを作っていただくようにしています。
移住前に地域住民に相談できる環境を作ってもらえることは心強いですね。
また、居住候補地がある程度決まっていれば、その地域の自治会の皆様を面談という形で紹介する場を設けています。面談に参加される方は、自治会の役員の方々でしたり、面談の内容に応じて、農業に詳しい方や、先輩移住者の方などにも来てもらっています。
毎回1時間程度の面談をさせていただくのですが、どの面談もとても和やかにお話しいただいています。昨年度は20回程度そういった自治会との面談を実施しました。
ライフスタイルに合わせて様々な方と接点が持てるのは非常に安心できますね。移住体験ツアーなども実施されていらっしゃるのでしょうか?
はい、行っています。年3回程度、「あさご暮らし体験会」を企画しています。これは、例えば川遊びや農業体験、DIY体験など季節ごとに様々なプログラムで、実際に朝来市にお越しいただき、いなか暮らしを体験いただくものです。(*昨年と今年は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、未開催)
なるほど。
そのほか、「オーダーメイドの移住体験ツアー」も行っています。ツアー参加者の希望を事前にお聞きし、市内巡りのツアーを半日ないし1日で組んで案内しています。市役所職員も案内するのですが、なるべく移住者目線で回っていただけるように、先輩移住者が同行するようにしています。起業を目標にしておられる方には先輩起業家を案内する、家を探しておられる方には空き家物件をいくつかご案内するなど、希望者毎に体験ツアーを組むようにしています。
すごいですね。全て市役所の方が対応されているのですか?
現在は、基本的には私ともう1名の移住担当の市役所職員、それと移住支援の業務委託をしている民間団体の3名の5名体制で対応しています。他にも、移住サポーターとして、地域での相談対応などの支援をしていただいている住民の皆さまもいらっしゃいます。完全ボランティアなのですが、30名以上の皆さまにご協力いただいております。
地域住民の方がボランティアで移住サポーターとして活動されているというのは、素晴らしいですね。先ほど言われていた「移住希望者と自治会との面談」も、市役所と市民が協力しているからこそ、実施できるサポートだと思います。
ありがとうございます!
実際に移住してみたいと思った方に対してのサポートもございますか?
「あさご暮らし体験住宅」という施設があり、集落の中にある一軒家で移住体験をしていただけます。1カ月3万円で最長2年間ご利用頂けます。1か月程度の短期のお試し滞在のほか、朝来市に移住したいけれども、住まいや仕事を探しているといった場合などに長期的にご利用いただいています。
1カ月3万円で最長2年間も利用できるんですか!?
はい。こちらをご利用の際も、事前に地元自治会との面談を経たうえで入居いただいています。入居中は、地域での暮らしを体験いただくため、お祭りや地域内の清掃など自治会活動に参加いただくことが条件です。
以前、この体験住宅に滞在中に空き家を探していた利用者の方が、その地域の方に相談したところ、地域内で売りに出されていなかった空き家を地元の方が家主に頼んでくださったことで、すぐに空き家の購入につながったことなどありました。こうした事例もありますので、積極的に空き家を活用して朝来市に来ていただける方が増えていくと嬉しいですね。
移住体験会、相談会をやっている自治体は増えてきている中で、朝来市では地域住民との交流によって朝来市にするかどうかという判断ができるのは魅力ですね。
移住を成功させるには慎重に検討期間を設けることも大事だと思います。移住を考えている地へ実際に足を運ばれて、かつ1回の訪問だけでなく、季節毎に複数回訪問してみる、体験住宅を使ってみる、先輩移住者とお話しいただくなどがいいかと思います。
その通りですね。
今の時代、ネットから地域の情報はたくさん手に入ると思います。ただネットで得た情報だけで判断して移住するのでなく、現地に行き、現地の人と話したことなどリアルで体験した感覚も大事にされたうえで決めるのがいいのではないかと思います。
EDITORIAL NOTE
岡本好市
朝来市の取り組みは、“どこに暮らすか”だけではなく、“どんな人たちと暮らすのか”という「人とのつながり」を大切にしておられます。
私も神戸市に移住した当初は近隣住民との接点が作れず、四苦八苦しておりました。その接点が移住前にできることは移住する方には意義ある物になると感じております。
インタビューをきっかけに朝来市の魅力を知っていただけたのではないでしょうか。自然豊かな環境で、安心して暮らせる地域。是非移住体験ツアーを活用して本当の朝来市を皆さんに知っていただきたいと思います。
CITY DATA
自治体情報
庁舎 | 〒669-5292 兵庫県朝来市和田山町東谷213-1 |
WEB | http://www.city.asago.hyogo.jp/ |
人口 | 29,357人(2021年6月末時点) |
╲移住・地域おこし協力隊╱
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☎ 0120-112-747